Woder JAPANについて

いまから40年前、奈良大仏前から路線距離日本一といわれた乗合バスで、吉野から熊野へ、ただカメラをぶら下げただけの旅をした。何の予備知識もなく山奥を突き抜けて太平洋へ出た。紀伊半島を縦断したのであった。南下するにしたがってはっきりと光の強度と植物の精気が増していくのが分かる。樹木の下や岩陰に入ると何だか風景の中で息づく精霊たちが話しかけてくるようだ。そんなアニミステックな体験が、僕の旅の出発点となった。それからというもの求道の旅が現在まで続いている。


2006年、友人の写真家岡田正人が亡くなった。彼は、そんな求道の旅の大切なパートナーであった。彼は日本文化を特集するブックメディア「JAPAN NOW」(工作舎編)の専属カメラマンでもあった。彼とともに熊野など全国の聖地を巡りながら、いつしか共通のテーマにたどり着いていた。「一体、日本とは何なのだ?僕たちはどこから来てどこへ行くのか?」岡田正人の案内で、折口信夫を読み始め、語り合った。折口の「実感」という言葉は、リアルな感覚を重視する写真表現とよくマッチした。


「全国各地の風景の中に、古代と現代を繋ぐ実感としての日本の基層文化をとらえる」岡田正人が亡くなって彼の志を,私なりのカタチにしたいと漂流するうちに、縁あって海外に日本を紹介する日本政府観光局のWeb制作業務を担当することになった。なかでも海外視点から日本を見た時、外国人にとって日本は何やら摩訶不思議な国らしい。新しいものと古いものが渾然一体となった多様な文化には、他の国にない独自な秘密めいたものを感じるそうだ。個人的な求道の旅の実感と、外国人が日本に抱く興味とがどこかでつながっていった。


日本文化の秘密とは何か?


本サイト「Wonder JAPAN」に収録した「日本の秘密」「ワンダーコラム」は、友人の河内氏に背中を押していただき、日本のカミに関する私の拙い論考を何とかまとめてみたものだ。日本文化の基底に流れる水脈に近づいてみたいという思いと、日本津々浦々への旅の実感を思い切って仮説化した。

なお、本稿の内容について、日本文化に多大な影響を与えた仏教、道教、儒教などの影響や、大陸、朝鮮半島などとの関連性、最新の学的成果には今回は直接触れていない。大きな全体フレームの概観のみにとどめている。


また、フォト・ライブラリー「日本万華鏡」「Power Spots on JAPAN」は、自分自身の研鑽も含めて日本政府観光局の業務のために湯淺個人が撮影した全国100地点余、約5万点の写真を再編集して随時公開していく予定である。


執筆にあたっては、古事記、日本書紀、続日本記、出雲国風土記、万葉集、本居宣長、藤原定家、世阿弥、金春禅竹、松尾芭蕉などの古典的著作、また折口信夫、柳田國男、宮本常一、谷川健一などの民俗学の先人たちの著作、松岡正剛、中沢新一、網野善彦、山折哲雄、梅原猛、上山春平、森浩一、山本七平、村松剛、小林達雄、小松和彦、宮田登、吉野裕子、諏訪春雄、鎌田東二、関裕二など宗教学、歴史学、考古学、民俗学など多くの現代の碩学の著作、近年の認知科学、脳科学、情報科学の成果や、レヴィ・ストロース、ジェームズ・フレイザーなど人類学関連の著作もを参考にさせていただいた。 


桜風社代表  湯浅章正

2015.8.8


業務内容

株式会社 ラユニオン・パブリケーションズ / 桜風社

日本の歴史・文化を基盤とした事業開発・メディア開発業務

②インバウンド観光開発業務

③出版、及びWebサイト企画・制作業務

 

◉実績(プロデュース&ディレクション)

日本政府観光局JNTO海外向けWebサイト構築・制作・運用  2006年〜2017年

②堀場製作所(1995年〜継続中)GAIAPRESSなど大手企業広報ツールの企画・制作  


◉沿革

1992年 牛久大仏建設プロジェクト参加

1994年 日本サッカー協会2002ワールドカップ招致委員会 編集参加

1995年   インターネットWebサイト構築開始。プレジデント社、堀場製作所など

1999年   サイマル・インターナショナルと業務提携 

      多言語WebサイトプロジェクトWeb Worksを立上げ

2002年  「かぐやこの繭 小石丸」展  企画運営

2006年    日本政府観光局JNTO海外向けWebサイト企画・制作開始

2010年  NHKテレビ番組「動物環境会議」製作委員会参加

など

 

◉プロフィール   

湯淺章正  株式会社 ラユニオン・パブリケーションズ参与、桜風社代表

1949年、岡山市生まれ。プロデューサー、編集者、写真家。永年、宗教学、民俗学など日本文化に関わる書籍に親しみ、日本文化の源流を求め全国の聖地・旧跡を訪ねる。常に部分と全体を総合する実感重視の姿勢を堅持。

株式会社ラユニオン・パブリケーションズ代表取締役を経て現職。日本政府観光局、観光庁、国際交流基金、参議院など政府機関のWebサイト構築、堀場製作所、大林組、大成建設など大手企業のWebサイトや印刷物、出版などを多数を手掛ける。編集者の視点から事業開発、メディア開発を得意とし時流にとらわれない本質的な企画方針を心がけている。

 

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