神社の氏子組織が日本の組織の原型だとすれば、日本の会社の終身雇用や年功序列の仕組みが見えてくる。新入社員からベテラン社員まで先輩後輩の人間関係の中で業務推進する。これによりノウハウと技を実務の中で伝承していくのだ。仕事の実施と教育が一体となった組織である。従って入社から定年退職まで一貫した道筋をたどることが不可欠となり、社員同士は運命共同体であり一種の家族である。一連のつながりが途切れると仕事の技の伝達も途切れるのだ。終身雇用や年功序列は、茶道や剣道などの日本の「道」のシステムの企業への応用でもある。特にこのシステムは「名人」を排出する。名人は常人のレベルをはるかに超えた存在だ。名人とはカミの力をかりて仕事ができる人のことだ。これは、刀鍛冶や宮大工などの棟梁と弟子の関係のなかに純粋なかたちが存続している。
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