近年のアメリカ主導のグローバリズムに影響を受けた日本の企業はずいぶん変わってしまった。CEOなどといい、企業の最大の働き手は社長とされる。業務はシステム化され、社員はマニュアルに従って動く。直近の費用対効果のみが優先され、人事も財務もこれに伴い意思決定される。
これに対して日本企業の原点は、祭の開催を準備する氏子組織である。カミを満足させ里に福をもたらしていただくため長老がリーダーとなり、幼児から老人までが参加して自分の役割を実行し、先輩の指示や伝統のしきたりを守って仕事にあたる。お客様はカミさまなので一切手抜きはできない。この伝統的な仕事の慣習が日本人のこころに刷り込まれているのだ。その本質は、先輩の後輩の絶対的関係。しきたり(受け継ぐもの)の重視。果てしのない成長(修行=道=イノベーション)である。
かつての企業は、いわば小さな天皇制であった。社長は業務という渦の中心にいる。いわば台風の目である。実際の台風でも明快な目を持っている時に勢力を増し、目がなくなると台風自体が崩壊して行くのだ。台風の目は真空で、存在すること自体が重視される。社長は刃向いたり無視すると怖い祟りが下る存在でもある。これは日本のカミと同じだ。お神輿に担がれて社員たちを祝福して回ることが勤めだったのだ。
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